大嘗祭|延喜式祝詞 訓読/正訓/原文
大嘗祭 おほにへのまつり
「集侍うごなはれる神主かむぬし・祝部等はふりども 諸もろもろ聞きこし食めせ」と宣のる。
高天原たかまのはらに神留かむづまり坐ます 皇すめらが睦むつ神漏岐かむろき・神漏弥命かむろみのみこと以もちて.....
天社あまつやしろ・國社くにつやしろと敷しき坐ませる 皇神等すめがみたちの前まへに白まをさく「今年ことしの十一月しもつきの中なかつ卯日うのひに 天あまつ御食みけの長御食ながみけの遠御食とほみけと 皇御孫命すめみまのみことの大嘗おほにへ聞きこし食めさむ為ための故ゆゑに 皇神等すめがみたちの相宇豆あひうづのひ奉まつりて 堅磐かきはに常磐ときはに斎いはひ奉まつり 茂いかしの御世みよに幸さきはへ奉まつらむと依よさして 千秋五百秋ちあきのいほあきに平たいらけく安やすらけく聞きこし食めして 豊明とよあかりに明あかり坐まさむ皇御孫命すめみまのみことの宇豆うづの幣帛みてぐらを 明妙あかるたへ・照妙てるたへ・和妙にぎたへ・荒妙あらたへに備そなへ奉まつりて 朝日あさひの豊栄登とよさかのぼりに称辞たたへごと竟をへ奉まつらくを 諸もろもろ聞きこし食めせ」と宣のる。
辞こと別わけて
「忌部いみべの弱肩よわがたに太繦ふとだすき取掛とりかけて 持もちゆまはり仕つかへ奉まつれる幣帛みてぐらを 神主かむぬし・祝部等はふりども請うけたまはりて 事落ことおちず捧ささげ持もちて奉まつれ」と宣のる。
-----
『祝詞正訓』安政5年(1858):平田鐵胤/謹書