儺祭詞|延喜式祝詞 訓読/正読/原文
今年今月 今日今時 時上直府 事上直事 時下直府 時下直事 及山川禁氣 江河谿壑 二十四君 千二百官 兵馬九千萬人 衆諸の前後左右に位置りて 各 その方のまにまに あきらかに位を定めて候ふべし
大宮の内に 神祇官の宮主の いはひまつり敬ひまつる 天地の諸の御神たちは 平らけくおだひにいまさふべしと申す
事別きて詔りたまはく 穢惡はしき疫の鬼の 處處村村に蔵り隠らふるをば 千里のほか 四方の堺 東の方は陸奥 西の方は遠つ値嘉 南の方は土佐 北の方は佐渡より彼方の處を 汝等疫の鬼の住處と定めたまひ行けたまひて 五色の賓物 海山の種々の味物を給ひて 罷けたまひ移したまふ處處方方に 急に罷き往ねと追ひたまふと詔るに 姧ましき心を挾みて 留まり隠らば 大儺の公・小儺の公 五の兵を持ちて 追ひ走り刑殺さむものぞと聞しめせと詔る
-----
『延喜式』卷第十六|陰陽寮 延喜5年(905)〜延長5年(927)